商いをする女たち(4)
quarta-feira, 20 de fevereiro de 2008

3)エバ・マリア・ド・ボンスセッソ

 裁判所の記録から掘り起こされたエピソード。エバは八百屋でした。というより、街角で戸板にバナナと葉野菜のケールをならべて売っていたのです。いずれも、ブラジルでは放っても育つ半野性的な作物。ところがドレイがつれてきていたヤギが、バナナを食べました。商品の、食いかけのバナナを取り返そうとエバはヤギの尻を叩きました。ヤギが打たれるのをみたヤギの世話係は、エバを打ち据え、腹を立てたエバは裁判にもち込みました。

 証人にたった20人の人間が八百屋のおばさんの肩をもち、ヤギの世話係の暴力を暴き立てました。判事はヤギ係を拘束。後刻、12か月の仮釈放を得たヤギ係は、件を翻そうと証拠集めに奔走します。

 「打ったのはエバの顔ではなく、背中である。それも、アルカンタラ王子のヤギを虐待していたからである。ヤギの首にはアルカンタラ王子の名前を掘り込んだ首輪がかけられていたはずだが・・・」

 まるで笑い話しですが、これも裁判所の保管書類にあるホントの話。エバというドレイ上がりのおばさんが、白人を牢屋にほうりこんだというので、みんなが溜飲を下げた一席。どこかの国にも似たような人情話があるような気がします。庶民の感覚というのは世界各国共通なのではないでしょうか。

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サンパウロ人文科学研究所 Centro de Estudos Nipo-Brasileiros