勝ち負け騒動以来60年以上が過ぎましたが、いまだに論議は盛んで、書物が数々出版されています。しかし、昭和新聞(社主川畑三郎)に発表された論説を読んで論評したものはまったく見られないと言われています。この講演で発表してくださる前山氏は昔実施した川畑氏の面接結果と昭和新聞掲載のエッセイの組織的な吟味、および長年の現地調査(数多くの勝ち組の人々を含む)をふまえながら、川畑氏の執筆活動に焦点を当てて、私見を披露してくださいます。
この興味深い講演会に皆様お誘い合わせの上ご来聴くださるようお願い申し上げます。
研究例会
昭和新聞と川畑三郎 -“勝ち組の頭脳”と言われた人物-
講師 前山 隆氏 (元人文研専任研究員・元静岡大学教授)
日時 2014年2月18日(火)16時より
場所 ブラジル日本文化福祉協会 1階 14号会議室
前山 隆氏プロフィール
人類学者。1933年、札幌市で生まれる。青年時代は助教諭として戸田小学校(岩手県九戸郡戸田村)に1年ほど勤務。1960年に静岡大学文理学部(哲学専攻)を卒業、翌年貨物船春国丸に乗じてブラジルへ出発。サンパウロ大学付属社会政治学院修士課程に学びながら、マット・グロッソ、アマゾーナスなど幾か所を訪問。武本由夫とともに日系文学団体「コロニア文学会」を創立。次いでアメリカに渡り、コーネル大学にて博士号を取得。その後再びブラジルに戻り、人文研において専任研究員を務め、『香山六郎回想録』の編集などを行う。帰国後も数回訪伯、研究活動に没頭。サンパウロ州立大学(UNESP)リオ・クラーロ・キャンパス、信州大学、筑波大学、静岡大学で教鞭を取り、1997年に定年退職。ブラジル日系人のほか、ブラジルの原住民、中国系移住者、黒人の宗教生活など興味ある研究分野は幅が広く、人間研究への貢献は大きい。
著書に『エスニシティと日系人』(御茶の水書房、1996)、『個人とエスニシティの文化人類学』(御茶の水書房、2003)、『ドナ・マルガリーダ・渡辺』(御茶の水書房、1996、ポ訳あり)、『風狂の記者』(御茶の水書房、2002)、『文学の心で人類学を生きる』(御茶の水書房、2010)など多数。