研究例会:『昭和新聞と川畑三郎 -“勝ち組の頭脳”に目された人物-』(前山隆氏)開催報告
segunda-feira, 24 de fevereiro de 2014

2月18日、文協ビル1階小会議室にて研究例会を開催いたしました。今回お話くださったのは、かつて当研究所の専任研究員でもあった前山隆氏(文化人類学者・元静岡大学教授)です。第二次世界大戦後、ブラジルの日本人移民の間で生じた「勝ち負け騒動」について今までも多くの研究がなされて来ましたが、これまでほぼ語られることのなかった川畑三郎と彼が発行していた『昭和新聞』に光を当てて論じられました。



『昭和新聞』は1949年の「勝ち組」にとっての“戦勝記念日”にあたる8月15日に創刊され、6年弱の間、川畑が論文を発表する主要な場となります。日本民族がブラジルで生きる意味やその指導原理を問うといった点を論旨とし、川畑の「新理念に基づく移民運動」論を解釈しました。



しかし1951年、サンフランシスコ講和条約が結ばれ、日本政府の現地機関在外事務所が開設されるなどの変化に対応して、川畑は勝ち組と負け組を合同させるよう動き、『昭和新聞』紙上にて、皆を平等にして世界の新建設を行うという考えを広め読者たちを驚かせます。

“勝ち組の頭脳”に目されながらも普遍的な考えを追求した川畑三郎について約40人の聴衆が熱心に耳を傾けました。


サンパウロ人文科学研究所 Centro de Estudos Nipo-Brasileiros