独自の思想に基づいて形成されたことでよく知られるアリアンサの弓場農場。
その「ユバ・バレエ団」は、農場創始者弓場勇の、真の芸術は土から生れるという信仰に啓発されて創られたもので、奥地農村からのバレエ団の誕生はきわめてユニークなものといえます。同時に、そうした創設の精神を守って永い間活動を続けてきた小原明子さんの情熱もまた高く評価すべきでしょう。
今回の「コロニア今昔物語」では小原さんご自身にユバ・バレエへの熱い思いを語っていただきます。
コロニア今昔物語
『ユババレエと私 -ブラジルに渡って50年-』
日時 2014年8月20日(水)18時半
話者 小原 明子氏
場所 ブラジル日本文化福祉協会 5階 53号 県連会議室
小原 明子氏プロフィール
1935年、東京都で生まれる。1949年に安藤三子舞踊研究所に入門後、安藤ユニークバレエ団のトップダンサーとして全国公演の他、TVでも活躍。傍ら同研究所の助教師を務め、自らも練馬区の幼稚園でバレエ教室を開き、指導を開始した。安藤三子・堀内完ユニークバレエ団第3回公演(1957年)でソロ『ババラ』を踊り、好評を得、舞踊界の新人として注目された。その後も公演や指導に活発な活動を続け、劇団四季の振り付けを担当するなど舞踊界で活躍した。
1961年にモダンアート彫刻家小原久雄と結婚後、夫と共にサンパウロ州ノロエステ地方アリアンサ村の弓場農場に入植。農場の子供たちに踊りの指導を始め、これがきっかけとなって農場内に劇場『テアトロ・ユバ』が建設される。以後、同劇場は発表会場として、今日まで近来、遠来の人々を招いて様々な催しを展開、地域の文化拠点となっている。1962年には弓場農場の生活の一部としてバレエレッスンが行われるようになり、ユバ・バレエ団が結成された。
1965年にはサンパウロ州内務省長官(ジュべナール・ロドリゲス・デ・モラエス)の歓迎のバレエ公演を通じて州政府より援助金が交付されることになり、州農村文化振興局の要請により、奥地10都市での公演を実施。さらに1971年にはメジシ大統領夫人の招聘により、社会福祉事業のチャリティー公演をブラジリア野外劇場で行った他、1974年の田中角栄総理大臣歓迎のための公演(文協大講堂)、1997年の天皇皇后両陛下ご来伯歓迎式典での公演(イビラプエラ体育館)、海外では日本、パラグアイなど、ユバ・バレエ団の数々の公演を実現している。
ブラジルでのこれらの実績により、1998年にミランドポリス市議会から名誉市民賞を授与され、2000年には奥地文化振興に寄与した功績に対し外務大臣賞を受賞している。