ある日本人農業移民の日記が語る −ブラジルにおける日本農業移民像−
terça-feira, 15 de janeiro de 2008

 西川大二郎法政大学名誉教授の「ある日本人農業移民の日記が語る─ブラジルにおける日本農業移民像─」をもって、当研究所ブラジル日本移民百周年記念『人文研研究叢書』第5号として、上梓する運びとなりました。

 西川教授は1950年代末より60年代前半にかけて、30歳初期のもっとも研究活動に油ののった時期を当地で日本移民の調査に過されました。

 当論文はそうした調査研究のうちのこれまで未発表であった、移民のひとりの記した「Y日記」なるものの克明詳細な分析を通して、あらたに綴られた調査報告であります。

 半世紀も前の調査に基くものでありますが、私たちはいまこれを読んでも、まったく古さを感じません。それどころか、この調査記録は、日本移民の歴史の中で、農業が主であった移民社会が、大きく農業を離れて都市住民化する、その大転換期にさしかかった時期の農業移民社会像を語る貴重な記録でもあります。当時の実態を知りたく思いながら、私たちはこれまでそれを詳細に知る調査記録を持ちませんでした。いまここにこの西川論文を通して、その一端を知ることが出来たことは、まことに望外のよろこびであります。

 綴られた土ににじむような農業者のいぶき、移民のいとなみ、これを読まれた読者はひとしなみにそれを覚えるのではないかとおもいます。(刊行のことばより抜粋)

 目次は下記の通り。
[I]序章:ある日本人農業移民の日記帳との出会い
[II]「ミネウムラ」の形成とその社会経済的性格
[III]『Y日記』が語る日系農業小生産の生産と生活
[IV]「ミネムラ」の社会的特性
「V」終章:一人の日本移民としてのYの行動と精神の軌跡
「VI」あとがき

価格:35レアル(ブラジル) 
大きさ:25・5センチ×18・5センチ
重さ:440グラム


サンパウロ人文科学研究所 Centro de Estudos Nipo-Brasileiros