ブラジルに於ける日系人口調査報告書-1987・1988-サンプリングの仕組み本調査を実施するに際し、調査単位の枠が存在しないために、地域的サンプリングに基づいてフィールドで新たに単位のリスト・アップをすることが必要であった。地域的サンプリングを行う上で、唯一の可能性はその規模は大きかったが、人口センサス用に設定された調査区(SETOR)の利用であった。調査期間や調査員数、調査費等を考慮し、短期間のうちにその地域内の調査が可能となるよう、SETORの地図上で地理的にいくつかの地域に区分し、それをSUB-SETORとした。単位の抽出は第1次抽出単位をSETOR、第2次抽出単位をSUB-SETORとする2段階で行われた。こうして抽出されたSUB-SETORにある全世帯が調査され、調査の対象たるべき日系人がフィールドワークを通じて確定された。 SETORは地域、都市・農村の区分、地域内での日系団体・地域日本人会の存否*そしてセンサスからの結果-日本生れの日本人の居住及び黄色人口の割合-に基づき、層化された。センサスから得られる他の結果-東洋系宗教への帰属-は層化目的には適切ではなかった。全体で14万のSETORがIBGEのコンピュータにより103の層に層別され、約1.500 SETORが指定された割当て数に基づき、等確率選択で標本抽出された。この配分は等配分の場合よりも多数の日系人が含まれるよう適切なデータを用いて決定された。SETORのサンプルは以降の調査でサンプル数を変更することが可能であり、そしてサンプリング誤差の算定が容易となるよう、独立した3つのサブ・サンプル(A,B,C)から構成されている。 SETORの標本抽出の基本となった総人口に占める地域人口の比率、黄色総人口に占める地域黄色人口の比率、日本生れの日本人総人口に占める地域日本生れ人口の比率は表1-1に示されたとおりである。しかもこれらのデータにもとづくとともに、さらに都市・農村の区分、地域日系団体の存否を加えて層化されたが、その各層と層別の割当て数は表1-2に示されたとおりである。アマゾナス州という地域を例に各層を説明しよう。まず、アマゾナス州に属する全ムニシピオ(郡)がそのムニシピオ内に日系団体・日本人会の存否を基準に2つの範疇に区分された。次にこの区分と交差する訳だが、この2つの範疇がさらに都市と農村の区分で2つの範疇に分けられた。さらに地域日系団体を持たないムニシピオの集合は黄色人口、日本生れの日本人人口との組合わせから、次の6つの範疇に区分された。即ち、
ところで、ロンドニア・アクレ州及びロライマ・アマパ州から構成される地域的層ではサンパウロ日本文化協会所有の地域日本人会リストによれば、他の東北部諸州(ペルナンブーコ、バイアを除く)と同様に日本人会がないと判断し、これらの州では全ムニシピオを4つの範疇に区分した。即ち、
上述のような過程で第1次抽出単位からの等確率抽出が完了された。続いて行われたのは第2次抽出単位からの等確率抽出であった。すでに、前述したように抽出されたSETORはただちにSETOR地図上で地理的特徴等から複数のSUB-SETORに再区分された。そして、その再区分されたSUB-SETORから等確率抽出法で1つのSUB-SETORが選ばれ、それが本調査の調査地域-単位とされたのである。 *1987年当時に、サンパウロ日本文化協会に保管されていた地域日本人会のリストを利用した。但し、必ずしも全ての日本人会が網羅されているかどうかは明確ではないが、日本人会の存否は日系人口の集中度を示す目安として、取上げられたものに過ぎないのであり、当調査の統計学的厳格性とは直接的関連性はない。
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