コーヒーで感じるブラジル
山本裕美子(JICA 日系社会青年ボランティア)
terça-feira, 15 de janeiro de 2008

 暑くなると、アイスコーヒーが飲みたくなる。キンキンに冷えているコーヒーに氷が涼しげに入っているものが。

 でも、サンパウロであのキンキンに冷えたアイスコーヒーをお目にかかることは滅多にない。そもそもコーヒーは、小さなコップに濃いコーヒーと砂糖たっぷり入れる物だと確立されているこの国では、アイスコーヒーなんて邪道なのかもしれない。

 邪道と言われようが、飲みたいものは飲みたい!と思って先日家で作ってみた。コーヒーの香りは冷やしている分、温かい時よりは劣るけど十分おいしい。だけど、何かが足りない。

 先日、ブラジル初のスターバックスコーヒーに行ってみた。日本のOL時代はよく昼食後、仕事後に飲んでいたなぁなんて思いだした。

 スターバックスポリシーは、ここブラジルでも揺らぐことなく存在していて。ちょっとした懐かしさを覚えてしまった。一部ニュースではコーヒー王国ブラジルで生き残れるのか?とまで言われていたが、そんな心配はご無用で大繁盛。しかし、値段はサンパウロで通常一杯1レアル少々で飲めるコーヒーが軽く3倍近い値段がしてしまう。これじゃあ、1日に何回も飲むブラジル人では中々手が出ない。そんなことを思いつつ、行列に並んだ末に飲んだコーヒーはなんだか味が薄く、正直何かが足りないと感じた。日本で好んで飲んでいた味なのに・・・。

 数日後バールで1レアルのコーヒーを頼んだ際、濃くて甘ったるいコーヒーを飲みながら見知らぬおじさんと会話をしていて、はっ!!とした。コーヒー1杯でカウンター越しの店員・他のお客さんとの他愛もない会話が繰り広げられるこの状況こそが、足りなかった何かなのかもしれないと。

 どうやら私の知らない間に、体の中に少しずつブラジル文化が入ってきているみたいだ。

 小さなコップの為、数口で飲み終わってしまうちょっと物足りないブラジルのコーヒーだが、心は大きく満たされるこれに魅力を感じる今日この頃。


サンパウロ人文科学研究所 Centro de Estudos Nipo-Brasileiros