2008年度通常総会のご報告
terça-feira, 25 de março de 2008

  3月13日(木)午後、当研究所会議室にて2008年度通常総会が開かれ、2007年事業・会計報告、及び2008年度の事業・会計計画が発表されました。さらにここで新たな役員が改選されました。

 以下にその一部を紹介いたします。

2007年度事業報告

I.出版事業
ブラジル移民百周年を記念して企画された叢書の一部として、下記の書籍が上梓された。
1. 『ある日本人農業移民の日記が語る--ブラジルに於ける日本農業移民像』西川大二郎(法政大学名誉教授)
2.『鈴木悌一--ブラジル日系社会に生きた鬼才の生涯』鈴木正威(当研究所理事)

II. 資料の分類・整理とデータベース化
当研究所には、ブラジル日本移民についての各種史料をはじめ、それに関連する内外の貴重な史・資料が多数所蔵されているが、年月の経過とともに、それらの損傷失や劣化が進行しているため、その分類・整備、永久保存、公開など抜本的対策の急務となっていた。このため、本年度はその作業にJICA青年ボランティアの派遣が認められ、7月には横尾悦子司書が着任した。
同司書の積極的な活動により、年末までに人文研独自の分類方式に基づき、史・資料のジャンル別の分類と配列を完了し、来年度からは、データベース化の作業に取りかかる予定である。

III. 公式ウェブサイトの解説と拡充
 当研究所の活動や実績を広報するために、来年度から新設されたウェブサイトは、研究者や一般の関心を呼び、当初の調査内容や活動についての問い合わせ、当初刊行の出版物の注文、さらには、学生、研究生、研究者の来訪などが相次ぎ、かなりの反響をあげることができた。
来年度は新規の企画、内容のいっそうの充実、デザインの更新をはかるため、その準備を進めている。

IV. 研究者の当初利用と勤務
本年度は日本からの大学生、研究生、研究者の来訪が相次ぎ、当所の情報提供や資料の利用が盛んに行われた。そのうち、当所が招聘し、一定期間を滞在して、研究に従事するもの下記の通りである。

1. 研究者 関谷 融(長崎県立シーボルト大学教授) 本年9月より来年3月まで
 研究テーマ 「『日本』再発掘--ブラジル日系社会における日本文化継承活動を鏡として」
2. 研究生 佐々木剛二(東京大学大学院博士課程) 本年11月より来年10月まで
 研究テーマ 「ブラジルにおける日系移民知識人の活動に関する研究」

尚、同研究生は、同時に当研究所ウェブサイトの管理・企画を担当している。

V. 勉強会の発足
本年10月からスタートし、それぞれのテーマの発表と討論を行う形式で本年末までに5回実施した。
第1回 10月29日 教育評価と指導
 関谷融(長崎県立シーボルト大学教授)
第2回 11月 8日  「水野龍」とは何者だったのか
 中村茂生(JICAシニアボランティア)
第3回 11月28日 戦前ブラジルの日本人移民子弟に対する日本語教育論
 伊志嶺安博(広島大学大学院博士課程)
第4回 12月7日 小説「琵琶歌」がうつしだす部落差別と世相
 藤原望(東京経済大学 学部生)


2008年度事業計画案

当研究所は、長期間、所長および研究員の不在という変則的事態に陥っていたが、新しい時代の要求に沿うためには、その事業や管理体制の抜本的な見直しが不可欠となってきている。
本年度は、その趣旨に沿い、新しい理事会役員の責任分担制のもとに、下記の諸事業の遂行によって、再出発を試みることとしたい。

I.ポルトガル語による研究と研究生の育成
従来、当研究所の研究は、日本語による日本移民史及び日系社会の調査・研究に限定されていたが、昨今、日本語による研究員の確保が困難になってきている事情に鑑み、本年度は、従来の方針に加え、新たにポルトガル語によっても当該研究を行うこととする。

II.「人文研研究叢書」の続刊
移民百周年を記念して出版されている当研究叢書は、本年度中に下記の刊行を予定している。
上半期 叢書第7号 『日系コロニア文芸 下巻』
日系コロニア文学史 安良田済
日系コロニアの詩 大浦文雄

下半期 叢書第8号 História da Imigração Japonesa do Brasil. Syozo Motoyama (『ブラジル日本移民史』本山省三) *サンパウロ大学日本移民百周年委員会および当研究所の共同出版。ポルトガル語。

III.月例研究会の新設
昨年度5回にわたって開催された有志による勉強会を新たに制度化したもので、原則として月1回実施する。この研究会には、できるだけ若い世代の研究者に参加を呼びかけることとする。また発表内容は当研究所のウェブサイトに公開する。

IV. ウェブサイトの拡充
昨年度から新設された当研究所の公式ウェブサイトをいっそう拡充強化し、当所の事業や活動を内外に広報すると共に新たな企画を盛り込み、さらなる拡充を図る。

V. 移民史・資料の整理
昨年度に引き続き、今年度も当所に所蔵されている日本移民及び関連の史・資料の分類・保存・公開の作業を行うが、本年度は特に書籍資料のデータベース化を中心に進め、時間が許せば雑誌資料の整理にも入る。

VI. 「人文研」第七号の刊行
当初の紀要雑誌である「人文研」を刊行する。今年度、当所及び移民史料館に勤務または客員として在勤している研究者を中心に、執筆者を募集し、投稿論文の掲載を行う。


理事会監査役会改選(2008年~2010年)

顧問     脇坂 勝則
        清谷 益次
        宮尾 進
<理事会>
理事長     本山 省三
副理事長    菊池マリオ
第一常任理事  田中 洋典
第二常任理事  森 幸一
第一財務理事  辻 哲三
第二財務理事  古庄雄二郎
理事      田中 慎二
理事      清水 裕美
理事      細川多美子
理事      長峰マリウダ
理事      高山 直巳
理事      鈴木 正威

<監査役会>
正 森田左京、森脇礼之、古杉征巳
補 トッパンプレス、山本商会、フォノマギ

以上


サンパウロ人文科学研究所 Centro de Estudos Nipo-Brasileiros