第七回研究例会 深沢正雪氏講演「これからの日系社会」開催報告
quinta-feira, 18 de março de 2010

去る2月25日、ニッケイ新聞編集長深沢正雪氏による講演会「これからの日系社会」が文協小会議室にて行なわれました。

深沢氏はまず最初に「日系社会」が形成された経緯を振り返り、日本文化の特殊性ゆえに、現在に至るまでその特色を色濃く残すことになった、と考察します。



その後、日本人の血を継ぐ人々全体による「日系社会」とその中核を成す「コロニア」という二つの語を自身がどう使い分けているか説明した上で、その構造の変遷を掘り下げて行きます。特に、「移民の団塊世代」という新しい視点に立った分析はコロニアの動向を説明する上で、説得力を持つものでした。

氏が「移民の団塊世代」と呼ぶのは、1927年から1934年の間に渡伯した一世、及び準二世たちで、日系社会の重要な出来事の中心になった世代のことです。しかし、その精力的に日系社会の屋台骨を支えてきた彼らの世代も深沢氏が呼ぶ “魔の94年” (スール・ブラジル、コチア両組合の解散を始め、様々な危機がコロニアを襲った年)頃平均寿命を迎え、コロニアの体制も大きな変化を迎えたと述べました。



最後に、今後の日系社会の展望が示されます。まず、一連の移民百年記念事業より、氏は都市(サンパウロを中心とする)と地方での二極化が顕著に現れたと考え、この傾向がさらに発展していくとの見方を示します。但し、その経過において日本文化の本来の意味を失った、しかし、ブラジルの土壌に根付いた日本文化が普及していくとも述べます。そして、民族的(エスニック)な保全としての活動と日本文化を愛する、ブラジル人をも含めた人々による普及活動とが行なわれていくという見識を示しました。



具体的なデータ分析と分りやすい図表を用いた、当研究所の研究例会の中でも記録されるべきものとなりました。


サンパウロ人文科学研究所 Centro de Estudos Nipo-Brasileiros