訃報 森田左京氏亡くなる
quinta-feira, 13 de novembro de 2008

 当研究所監査役の森田左京氏が去る11月3日肺気腫のため亡くなった。享年78歳。

 森田氏の本領は、日頃あまり陽の目を見ない、隠れた先人の功績を発掘して再評価することに発揮された。その最たるものは、日伯辞典の編纂者大武和三郎の顕彰である。この辞典から受けた移民の恩恵は戦前・戦後を問わず測り知れないものがあったが、従来、その功績が世に埋もれたままになっているのを不審とし、氏は当所脇坂顧問と語らい、みずから資料を集め、関係者を訪問し、連絡を取りながら地道な運動を続けて行った。その甲斐があって、昨年は移民史料館による三人の先覚者展の一人として大武和三郎の特別展が開催され、本年は同史料館内に大武の常設コーナーが新設されるに至ったのである。

 森田氏はまた、移民50周年を記念して刊行された64名の「物故先駆者列伝」全ページの漢字を、若い人にも読みやすい新字体に改めて再校するという作業も行った。その内容は当所のサイトに連載されている通りである。

 さらに、ニッケイ新聞の堀江記者による大武和三郎の小伝が本年四月に当所から刊行されたが、この資料もすべて森田氏の提供によるものである。

 かように氏の旺盛な知的好奇心、迅速な行動力、そして信ずる分野への献身などはまことに眼を見張るものがあった。我々は惜しい逸材を失ったのである。心から冥福を祈りたい。


サンパウロ人文科学研究所 Centro de Estudos Nipo-Brasileiros