2011年度通常総会のご報告
sexta-feira, 13 de maio de 2011

3月24日、2011年度通常総会が当研究所にて開催されました。総会において、2010年度事業報告、ならびに2011年度事業計画案が発表されましたので、サイトにおいて一部ご紹介いたします。

2010年度事業報告書

1.奨学生事業
  昨年末に発足した本事業は、本年度から実行の段階に入り、篤志家の寄付による基金を設定し、4名の奨学生を対象に、毎月指導教官と奨学生との懇談会を開催するほか、月次並びに期末レポートを提出させ、随時勉強会を開催するなど、その成果の充実を期した。
 奨学生の氏名とその研究テーマは下記の通りである。 小林ブルーナ (サンパウロ州大農学部) 「イグアッペ周辺の日系農業技術」
 山田エドワルド(USP文学部歴史科)「日伯関係における人種偏見について」
 吉田 満   (  同  )        「日本の移民政策についての一考察」
 柴田夏美   (  同  )    「対ブラジル移民政策に見る日本の近代化」
 本研究の論文は来年の4月に刊行の予定である。
 また、奨学生中山田・柴田の両名は、学部卒業のため、規定により奨学資金の支給を終了した。
1)本事業に協力した法人・個人
  サンヨー牧場、宮坂基金、サンタンデル銀行、続木善夫(2名分)、高岡マルセロ
2)指導教官
  本山省三  当研究所理事長   USP歴史科教授
  菊地保夫   同 副理事長     社会学博士

2.出版事業
 8月 人文研叢書第8号 「日系コロニア文芸」別巻
      -日系コロニアの詩文学―      大浦文雄 ルネ・タグチ共著
 12月 小冊子 「ブラジル戦前移民航海物語り」 田中洋典前所長遺稿
                 装丁はいずれも田中理事が担当した。

3.資・史料の分類・整理とデーターベース化
  昨年度に引き続き、本年度も新規に寄贈のあった移民史料の分類とデータベース化を行うとともに、日本語教育史料のほか個人史料としては、斉藤広志、鈴木貞次郎、尾関興之助分の整理を行った。
 データーベース化された史料・図書は次の通りである。
 日本語による移民史料       4,344冊
 日本語による一般史料       1,841冊
 外国語による移民・一般史料   約3000冊 

4.企画とイベント
1)研究例会
  アカデミックな研究の成果を一般に発表する趣旨のもとに、本年度開催された研究例会は次の通りである。
 第7回 2月 「これからの日系社会」 深沢正雪   ニッケイ新聞編集長
 第8回 5月 「福博村の75年」   大浦文雄    スザノ福博村 永代村長
 第9回 7月 「移民史料館の現状と将来」 栗原猛 移民史料館運営委員長
 第10回 9月 「変容する日系社会」  三田千代子    上智大教授
2)コロニア今昔物語
 昨年度から発足したこの企画は、従来の研究例会であまり採りあげてこなかった分野における移民の営為に照準を当てるもので、本年は下記の要領で実施された。
 第4回 4月 「肖像写真から見たコロニア」 松本浩治 サンパウロ新聞編集次長
 第5回 8月 「力行会の播いた種」      永田久  「のうそん」誌編集長

2011年度事業計画書

1.「移民・社会史年表」増補版の編集と刊行(新規事業)
 1995年に刊行された本年表は、ブラジル日本移民に関する随一の年表として、内外の研究者より利用・愛用されているが、刊行後すでに15年を経ているのに鑑み、改めて移民史料館の協賛を得て、増補版の作成を目指すことにした。(経過報告
  編集期間    2011年1月より10月まで
  対象期間    1996年より2010年まで
  刊行月日    2011年12月
  編集委員    専任 神田大民  常任 松本純子  深沢雅子
  監修       脇坂勝則  宮尾進
  編集協力    田中慎二

2.若手研究者養成のための奨学生制度の継続
  昨年度、4名の奨学生を対象に順調に推移した本制度は、本年度は2名の奨学生の入れ替えを含む4名の奨学生に対し、月一回の指導教官との懇談会をはじめ随時メールによる連絡を緊密化し、それぞれの研究テーマに基づき指導と助言を重ねることによって一層の充実を図っていきたい。
 継続奨学生
  吉田満   (USP歴史学科)   日本の移民政策についての一考察
  小林ブルーナ(UNESP農学部)  イグアッペ周辺における日系農業技術
 新規奨学生  
  白丸ライース(カスペルリベロ大)100周年記念祭とポ語による日系メディア
  比嘉コージ(SP社会政治学院)宮沢ジュリオの作品における日系人のイメージ 
また、本制度の実施については篤志家の法人・個人の厚志が基本になっているので、引き続き協力を要請し、事業の安泰を期したい。

3.出版事業
 本年度の出版と企画の予定は下記の通り。
 1)「日本移民・日系社会史年表」増補版
 2)第1期奨学生4人の期末論文集
 3)人文研叢書 継続刊行を図るための新企画
  評伝「アンドウ・ゼンパチ」執筆者 古杉征己  

4.史料分類・整理とデーターベース化
 本年度の予定業務は下記の通り。
 継続事業:収集済みの史料及び外国語の一般図書のデーターベース化を実施する。
 新規事業:当所にてかって録音したゼミナールや移民関係のテーマにした河合・半田両氏の対談シリーズなど、241本に及ぶテープ資料のデジタル化を行う。

5.企画・イベント
 本年度も当所主催による下記の発表会を随時実施する。
1)研究例会 
研究者によるアカデミックな研究や調査の成果を一般に発表する趣旨による。
昨年まで10回を数えた例会は、本年度はすでに1回目として下記の要領で実施した。   
 第11回 
 日時  2011年2月22日 午後6時半
 講師  細川周平  国際日本文化研究センター教授
 テーマ 「ブラジル日系文学雑感」
2)コロニア今昔物語 
 従来あまり採りあげてこなかった分野における移民の営為を発掘して発表するもの。

6.研究員・研究生の受入れ
 要請のあった場合に、随時受入れ要項に基づき処理するが、本年度はすでに2月より約1ヶ月間、国際日本文化研究センター教授、細川周平氏が当所を本拠にコロニア文芸についての調査を行っている。

7.協賛事業
 主として日本移民史料館が主催する企画について、当所が協力できる事業を協賛するもので、本年度はすでに下記の企画に協力している。
  「戦前移民船写真展」 2月15日~3月31日 

理事会 任期2年(10年4月より12年3月まで)

顧問        脇坂 勝則
顧問        宮尾 進
顧問        清谷 益次

理事長       本山 省三
副理事長     菊地 保夫
第一常任理事  鈴木 正威 (所長兼任)
第二常任理事  田中 慎二
第一会計理事  古庄 雄二郎
第二会計理事  栗原 猛
理事(順不同) 長嶺 マリウダ
理事       細川 多美子
理事       古杉 征己
理事       高山 儀子 (新人)

監査役再任 任期1年(11年4月より12年3月まで)

(正)  辻哲三、森脇礼之、丹羽義和
(補欠) トッパン印刷、山本商会、フォノマギ書店


サンパウロ人文科学研究所 Centro de Estudos Nipo-Brasileiros